～海の覇者 ULYSSE NALDINに魅せられて～
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突然ですが皆様、”海”っていいですよね。
眺めているとそれまでの不安や悩みなんかが浄化されていくような感覚があります。
そんな我々生物の故郷でもある”海”でも時計というのは使われてきました。
海で使用する時計というのは大きく分けて2つあると筆者は思っており、1つがダイバーズウォッチ(潜水時計)、もう1つがマリンクロノメーター(船舶時計)です。
今回はそのマリンクロノメーターを製造していたことでも知られる時計メーカーのご紹介をします。
その名も、海の覇者、ULYSSE NALDIN(ユリス・ナルダン)
探せ！この世のすべてをそこへ置いてきた!!
世はまさに、大航海時代!!
まずこのブランドを語る上で欠かせないのが「マリンクロノメーター」という時計の存在です、日本では1942年にSEIKOが「経線儀」として日本海軍の要請を受け製造しております。
そもそもなぜ海上で時計が必要なのかいうお話ですが、時は遡ること17世紀、ヨーロッパ諸国が世界規模の航海を行い、新航路を開拓して領域を広げた「大航海時代」が訪れます。
その際に航海が増加し海難事故が多発するようになり、現在位置を把握するため精密な緯度や経度の測定法が求められ、色々方法は考えられましたがその中でも特に高精度であった時刻と太陽の位置から測定する際に使用されたということです。
大航海時代の終わり頃、18世紀初頭最も精度の高い時計は振り子時計でしたが、海上で使用するには波による揺れの影響が大きく上手く機能しない為、揺れる船舶上でも正確な時を刻むよう開発されたのが「マリンクロノメーター」だったというわけです。
1735年にイギリスで初めて製造、次いでフランスでも製造されるようになったマリンクロノメーターですが、家内制手工業のような体制を取っていたため量産が難しかったそうです。
その量産化に世界で初めて成功したメーカーが今回ご紹介する「ユリスナルダン」です。
前置きが長くなりましたが、そんなユリスナルダンの創業遍歴をご紹介します。
マリンクロノメーター発明から時は流れ1846年、フランスの国境沿い、スイスのル・ロックルで創業。
ル・ロックルはジュラ山脈、ヌーシャテル州にあり、同じ州には時計産業でも有名なラ・ショー・ド・フォンがあります、この2つの都市は産業遺産の価値が認められ、2009年世界遺産に登録されました。
いつかは国際時計博物館に行ってみたいですね。
話は戻りまして、創業者はブランド名にもなっているユリス・ナルダン氏。
ナルダン氏の師匠にマリンクロノメーターの設計に長けた人物がいたことやル・ロックルがフランス国境沿いにあり、町が工業的に栄えていた事もあり「マリンクロノメーターの第一人者」とも呼ばれるようになりました。
では、ユリスナルダンが製造したマリンクロノメーターを見てみましょう。
「マリンクロノメーター」
大きさ19cm×19cm(木箱の大きさ) デテント脱進機
特徴としては6時位置にスモールセコンド、12時位置にパワーリザーブインジケーター、ローマインデックスです。
海上で時計が止まってしまうと正確な時刻が分からなくなってしまうためパワーリザーブインジケーターは必須ですね。
1846年から1975年までに4500個以上の製造をしており、クロノメーター認定の合格率が95％ほどと恐ろしく高度な製造技術を持っていたことが分かります。
筆者はマリンクロノメーターの存在を知ってからというもの、夜な夜なネットオークションやフリマサイトに入り浸っては購入できそうな個体を探しています。
さて、創業遍歴はこの辺りで切り上げまして、ここからはユリスナルダンの現行モデルをいくつかご紹介いたします。
まずはこちら
「マリーントルピユール」
型番 1183-310/40 自動巻きCal.UN-118
ケース径42mm 厚さ11.1mm
ステンレスケース 50m防水
今となってはブランドのアイコン的な存在ともいえるこちらのモデル。
6時位置にスモールセコンド、12時位置にパワーリザーブインジケーター、ローマインデックスとマリンクロノメーターのデザインを基にしている為、非常に視認性が高いです。
もうひとつ注目していただきたいポイントがこの分針、針は全てブルースチール針(針を焼き入れし金属皮膜によって青く変色させる製法、青焼き針ともいいます。)ですが先端が文字盤側にわずかにカーブしており、より視認性が高くなる工夫が施されております。
ムーブメントは自社開発のCal.UN-118です。
現代では様々なメーカーがシリコン製部品を採用しておりますが、世界で初めて時計にシリコン素材を採用したのがユリスナルダンです。
これにより高い耐磁性が確保され機械式時計のお悩みポイントのひとつでもある”磁気帯び”が起こりにくくなります。
巻き上げ機構も特徴的で、「マジックレバー」という機構が採用されており、巻き上げ効率が上がり、デスクワークなどの小さな揺れなどでもしっかりとゼンマイを巻き上げてくれます。
このまま勢いが止まらなくなりそうなのでこの辺りで次のモデルへ
「フリーク ワン」
型番 2405-500-2A/3D 自動巻きCal.UN-240
ケース径44mm 厚さ13.37mm
チタン/18Kゴールドケース 30m防水
これは時計なのか、、？と疑問に思う方もいらっしゃるかと思います。
「文字盤がなく、針がなく、リュウズがない」というデザインをコンセプトとしているため、もしかしたら時計ではないのかもしれませんが、ケースがあってラグとベルトもあるので自信はないですが恐らく時計です。
ケース中央にはさながら某ゲームの剣のような形のムーブメントがあり分針の役割も行っております。
公式の写真をお借りしてますのでこれはきっと10時10分頃を指しているのだと思いますが、ぱっと見での時間把握はかなり難しいです。
ムーブメントはこのような構造になっております。
皆様の頭の上にでっかいハテナマークが見えます。
先程ムーブメントが分針の役割をしているとお話ししましたが、これは脱進機にカルーセル機構を搭載しているためです。
そうです、ムーブメント”ごと”回ります。
～カルーセル機構とは～
日本語で回転台を意味し”重力分散装置”の役割を担っております、重力分散装置には有名なものだとトゥールビヨンがあります。
トゥールビヨンとの明確な違いはといいますと長くなるので割愛しますが、4番車が固定されているかどうかということでガンギ車が固定4番車の周りを回り、キャリッジと呼ばれる脱進機部分を回すのが”トゥールビヨン”、4番車が固定されておらず3番車が4番車と脱進機を回すのが”カルーセル”というわけです。
イメージとしてわかりやすいのは、「椅子に座ったまま360度見渡してと言われた時に椅子自体が回転する(トゥールビヨン)か固定された椅子が床ごと回る(カルーセル)か」です。
筆者はこの違いを理解するのに5時間ほど資料を読み漁っておりますので椅子のイメージだけ理解して頂ければ十分です。
話が脱線しましたが、こちらのフリークコレクションの第一号製品は2001年発表のモデルであり、筆者と同い年になります。
さらに2022年にはこのようなモデルも発売しております。
「フリーク S」
型番 2513-500LE-2ABLACK-5N/1A
自動巻き Cal.UN-251
ケース径 45mm 厚さ 16.65mm
チタン/18Kゴールド/セラミックケース 30m防水
宇宙船です。
筆者は時刻を読み取ることを諦めました。
このフリークコレクション開発に携わったのは偉大なこの3人
ルートヴィヒ・エクスリン氏(上) キャロル・カザピ氏(中) ピエール・ギガックス氏(下)
エクスリン氏は、かの有名な”天文時計三部作”を生み出した天才博士です。
カザピ氏はトゥールビヨンの女王とも呼ばれる人物でカルティエのトゥールビヨンを作るなどし、現在はタグ・ホイヤーの技術責任者をしております。
ギガックス氏はシリコン製部品の生みの親です。
ここまでの人物が集まって開発した時計なので革新的かつ究極形ともいえる時計になりました。
以上になります。
いかがだったでしょうか？
今回は色々と説明しなければいけない前提や筆者の脱線などで長くなってしまいました。
伝統的なマリンクロノメーターのデザインを踏襲しているマリーン・トルピユールや全く新しいデザインのフリークコレクションなどかなり興味を惹かれるモデルの多いブランド、ユリスナルダンのご紹介でした。
今回ご紹介したモデルの他にも素敵なモデルが多数ありますのでご興味のある方は是非公式ホームページをご覧くださいませ。
それではまた次回お会いしましょう、アディオス。
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